記憶 ―砂漠の花―

二人を揺さぶり続けるも、

どうしよう…。
起きない。


心配で、徐々に私の瞳に涙が滲み出す。

それに、
初めて来た場所で一人。
誰かに助けを求める事も出来ない。

私は周囲を見回した。


隠された島、ルリ。

そこは、本当に小さな…
一周を白い砂浜で囲まれた島。

その中心には、
背の低い草原の丘の上に、一軒の小さなレンガ造りの古びた家がある。
それだけの島だった。


あの家に…
カルラさんがいるのかな…。

魔力で、気を失った二人を運ぶのは可能だ。
行くべきか、このまま二人が目を覚ますのを待つべきか…。

私は、しばらく二人の姿とその家を交互に見つめて考えていた。


家の戸が、開いた。
中から、女性が姿を現した。

カルラさん…?


見晴らしの良いこの場所で、私たちの姿を見つける事はあまりに簡単。

戸の前で、彼女は私たちを見つめていた。

その顔は…
その姿は、

年月が経っていても尚、ラルファの城の肖像画で笑う彼女そのものだった。


私が、信じられないとばかりに彼女に視線を送っていると、彼女は遠慮しがちに近付いて来る。


「…あの、大丈夫です…か?」

私にそう声を掛けた。

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