記憶 ―砂漠の花―
16・紅い魔力
16・紅い魔力
「…そうなの…、貴女のお母様も戦争で…?」
「はい、行方不明です。」
私たちは、サイル城へと戻ってきた。
母上を加え、三人ともやはり地下室で気を失っていたが、私が魔力で移動させた。
先生の指示で客間に横にさせていたが、免疫がついたのか先程より早く回復した。
これまでの旅の経緯と、今のラルファの状況と…意気揚々にアズは話し、久々の親子の会話は談話室で大いに盛り上がっていた。
加えて、アランが合流した事で賑やかさは増していた。
私の横にベッタリと座るアランにも、アズは今は目をつぶっている。
「あ、父上に報告を入れよう!母上の元気な姿を見せてあげなくちゃ…!」
アズがそう提案すると、アランが私の肩に擦り付きながら答える。
「じゃあ、シオンだ。叔父様もシオンにいる。」
「シオンに…?」
私が擦り付くアランを剥がしながら聞いた。
「うん、居てもたっても…ってかんじで、マギーに任せて出てきたって…」
「了解だ!」
微笑ましく見守っていた先生が、緑色の魔力を放ち、壁に映像を映し出す。