記憶 ―砂漠の花―
「…き…傷…は…?」
「大丈夫だよ、大した事ない!」
アズは心配そうに焦りの色を浮かべながら、自らの血がついた手で私の顔を撫でた。
アズの優しい手…
…血…
私が、傷付けた…
「…ごめん…なさ…、私……こわ…い…」
この力は、何…?
これじゃあ、
マルクと同じだ…
人を、傷付ける力…
…嫌だ、嫌っ!
怖い…、
こわい、こ…わい…
アズの声が、皆の声が徐々に遠ざかる。
目の前が、
白くなっていく…
私は、意識を失った。