記憶 ―砂漠の花―
――バタンッ…
急にドアが開くと、アランが顔を出した。
「朝飯の準備出来たって……って、アイリぃぃ!!起きたの~?心配したんだよー?」
アランが私の方へと両手を広げて突進して来る。
――シャァッ…
タビが毛を逆なでて威嚇した。
アランがその場で止まる。
よく見るとアランの顔には引っ掻き傷。
すでに、タビにちょっかいを出してやられたのだろう。
…待って?
今…
「朝ごはん…?朝!?」
「うん…」
朝食を皆でとりながら、状況は説明された。
結局、私が目を覚まさないまま、皆同じ部屋で交代に仮眠を取ってくれていたらしい。
何か私に異変が起こった時に対応出来るように…と。
「本当にごめんなさい…」
私は皆に頭を下げた。
申し訳ない気持ちで一杯だ。
マルクを倒しに行くって時なのに…
「俺たちは充分に睡眠は取れた。ほとんどアズとカルラ様だよ…」
キースがそう言うと、先生も頷いた。
「ありがとう…!」
私が二人にお礼を言うと、
「私にはこれくらいしか出来ないから…」
「いや、眠れなかっただけだから…そんなお礼言われる事じゃ…」
と同じように首を振る。