記憶 ―砂漠の花―
「じゃあ…姉上の事は引き続きリザと…、タビに任せよう。」
先生がタビを持ち上げた。
『いいわよ!リフィル様にちゅいててあげりゅ!お友達だもにょ。』
先生は、自分の頭とタビの額をくっつけた。
魔力が放たれる。
「お前と回線を繋いでおくからな?何かあったら呼び掛けてくれ?」
『了解よっ!』
タビは元気良く鳴いた。
先生とタビに皆が注目する、そんな横でアランと叔父様が静かに話している。
私の耳は、その会話を聞き逃しはしなかった。
『アラン、頼むぞ。』
「はい…。あ、父上…万一、いざという時は奥の手の許可を…」
『…仕方あるまいな。いいだろう…、後で話しておく。』
「…はい。」
……奥の手…?
何…?
「…?」
叔父様が私の視線に気付き、アランから視線を外す。
アランも私を振り返った。
ごまかして、いつもの笑顔を見せる。
「アラン…?」
私がアランに話し掛けようとした時には、
先生が大切な話を始めた。
私は仕方なく先生の方へと向き直る。
「マルクの城に着いたら、多分…マルク信者のウィッチがマルクの周囲を固めているだろう。」