記憶 ―砂漠の花―
「――あぁ。」
キースが強く頷いた。
「これ以上…人々の悲しみを生み出したくはない!」
私や母上を物憂げに流し見て、アズも共感する。
「俺も賛成よ?後味悪いのは御免だもん~!」
アランも首を傾げてみせた。
私も、アズの痛々しい両手を見て目を伏せる。
「人を傷付けたくない…。」
私はただの人間。
神ではない。
人に傷を与える権限など、
ましては命を奪う権限などないのだから…!
――どうして…、
人は、簡単に他人の命を奪おうと思えるの…?
分からない…
「……では、行こうか…!」
私たちに、静かな緊張が張り詰めた。