記憶 ―砂漠の花―
魔力を閉じ込めずに、外面にさらけ出している今の私の視界には、自らを取り巻く色しか見えない。
分かるのは、濃淡くらいだ。
しかし、彼らはきっと緑色に包まれているのだろう。
次第に、青服たちの姿が『封印』されてゆくのが分かる。
髪の色の、濃淡…
大多数の人数の濃いはずの髪色が、淡い色に変わった。
「いいぞ!髪で見分けろ!!」
キースのその言葉を合図に、私は魔力の解放を止めた。
蝋燭の炎を消した様に、一瞬揺らめいて小さくなった。
視界の色彩も、元に戻った。
私たちは、その場を散った。
先陣を切る先生、キースの組。
その少し後ろから私とアズ。
後方で、母上を守るアラン。
黒と金色の髪色が入り交じる。
紅と白の魔力が、
緑と白が…入り交じる。
白い光を帯びた光線や炎が、私たちに集中する。
私は紅い魔力を大きく放ち、アズの体ごと包み込み、その攻撃を防いだ。
剣では峰打ちを、
魔力では、眠りを…
私が眠りの魔力を周囲に放つと、辺り一周の青服が身構える。
紅い魔力に抵抗し、自らを眠りから守ろうと防御に入る為に攻撃が止む。
重なる金属音…
高まる青服の雄叫び。