記憶 ―砂漠の花―
戦いは…、
人と争うのは、
どんな形でも、嫌い。
背中合わせのアズと私は、その場で相手を見極めて円を回転をさせながら対処していた。
アズの鼓動を感じる。
アズの息づかいを感じる。
戦うのは、嫌い。
でも、
…アズを、守らなくちゃ…
きっとお互いに同じ思いなのだと静かに確かめ合っていた。
私の視界の片隅に、青服とは異なる強大な『白』が飛び込んだ。
「――マルクッ!!」
私の声に全員が反応する。
マルクの現在位置は、城から見て後方。
…母上!
アランと母上には、勿論魔力がない。
周りからの魔術を防ぐ術は、剣しかないのだ。
「やはり…報告通りでしたね。『紅い力』…そしてカルラまで…!」
マルクは、アランと母上のすぐ側まで迫っていた。
その手には、リフィルさんの心臓。
アズがマルクの位置を確認し、周囲と応戦しながら駆け出す。
「――だめっ!!」
私は、駆け出すアズに叫んだ。
離れたら、アズを守れない。
私の光が届かない。
「――!!」
この場に残された私に、取り囲む青服から攻撃が集中する。
すぐには移動出来ない。
幸い、アズの駆け出した先には金色の髪が並ぶ。