記憶 ―砂漠の花―
先陣を切っていた二人も、視線はちらちらと後方に向けながらも、周囲との応戦で動けない。
「アズ!危ない!」
行かないで…!
一人になっては駄目!
私は、少しでも早くアズの元へ駆けつけようと、最大限に力を膨らませた。
青服たちが、その場に崩れる。
アズの姿を求めて、
私は首を振り目を泳がせた。
――…遅かった。
マルクの白い光が、アズを捕らえていた。
「…ぐぅっ…!離…せっ!!」
宙で体の自由を奪われていた。
「――アズ!!」
目の前で苦しむアズを見上げ、母上とアランが叫ぶ。
「…ほぅ…?アズ君と言うのですか?」
マルクが、笑みを浮かべて母上を見ている。
母上が、はっと息を飲んだ。
「確か…貴女の息子の名もアズと言いましたね…?」
「……!!」
嫌な空気が流れた。
「では、ラルファ国の王子…!」
ふふふ…と笑う。
マルクがアズを見る。
アズを覆う白い魔力が、強く光った。
「…ぐぁぁ…!」
アズの表情が苦痛で歪む。
「妹はすでに殺しましたからね…、きっと寂しがっていますよ?」
「やめて…それだけは…」
母上が懇願する。