記憶 ―砂漠の花―
「――やめて…、やめてよ…!」
遠くから私が叫ぶ声。
青服たちの声で、その声は虚しく届かない。
早くマルクを止めなくちゃ…
早く!早くっ!!
アズ…!
アズが…!!
周囲の青服をお構い無しに眠らせる。
でも、次が来る。
嫌…
嫌だ!!
邪魔しないで…!
「――来ないでよ!!アズがっ…!!」
憎い、
邪魔…、
来ないで、憎い…
私の力は、
解放され始めた。
――ドクンッ…
周囲の青服が飛ばされる。
「ぐあぁぁぁっ!!」
血が…、
赤く、飛び散る。
――アズ…!!
アズ…、
…アズ…!
「紅い力か…!!」
激しくなぎ倒される青服の集団が、マルクの目に止まった。
マルクが私を見て焦りの表情を浮かべる。
同時に嬉しそうにも笑った。
「ふふふ…あの力も手に入れてみせる!」
そして…、
マルクは自分の横に、大きな剣を手にした一人の青服を呼び寄せた。
男は嫌な笑みを浮かべて、不気味に光る剣を構える。
「――アズッ!!」
マルクは今まで聞いた事のない、さらに低い声で叫ぶ。
「やれっ!」
男は頷くと、
アズの胸を、刺した――