記憶 ―砂漠の花―
19・夜と朝の狭間で
19・夜と朝の狭間で
「私は、カルラとしか結婚は致しません。」
父上は母上の腰を抱き、白髪の男と向き合っていた。
ラルファの謁見の間。
若い父上と、母上。
紛れもなく、
ここは過去…
この白髪の男性は…
城の肖像画で見た事がある。
祖父にあたる人物なのだと分かる。
隣にいる母上は、ただ静かに不安気に父上を見上げている。
「しかし、今の現状がお前にも分かるだろう!!」
祖父は怒鳴った。
負けじと父上も怒鳴り返した。
「なぜ、関係のないウィッチたちまでも巻き込む『ウィッチ狩り』など命じたのですか!!」
「今の国民を鎮める為、我が国の為にサザエルのウィッチに限っての命令だ!それが国民の手によって曲げられてしまった。私のせいではないわっ…!!」
時は…
ウィッチ狩りの最中。
父上と祖父の言い争いが続く。
「なぜ、それを鎮めようともせず、…加担しているのかと聞いているのです!私には分かり兼ねます!!」
「ウィッチは、人の心を探る。人にない力を持つ!この度の事で彼らウィッチと私たちの間に、溝が出来た事も紛れもない事実!我らにとって危険な存在である事も事実!!」