記憶 ―砂漠の花―


「……そんな…」


「――差別です!ウィッチであろうと同じ人間だ!良いウィッチまで束にまとめて排除しようなど……!一国の王として、貴方は間違っている!!」


激しい怒りを向ける父上。
こんな父上は、初めて…。


「もう遅いわ!もう国民の意思は鎮まるまいっ!!それを、ウィッチと結婚しようなんぞ…お前こそ次期国王として間違っているとは思わないのか!?馬鹿な息子よ…!!」


母上は…

やはり、
ウィッチだった…。


母上は、
自身を『解除』した。

母上の黒い髪が、
一歩前へ。
一歩前へ…

母上の『紅い光』が、
一歩前へ…


青い瞳が、祖父を映す。


「……待て!近付くでない。何をするつもりだ…!!」


祖父があからさまにウィッチに対して恐怖を持っているのが分かる。
他の国民と同じ様に…


母上は、哀しげに瞳をおとした。


「何も致しません…。愛する方のお父上に何か危害を加えようなどと、夢にも思いませんわ…」


「ウィッチなど信用出来んわっ…!!」

はっ…と祖父が失笑した。


「――父上っ!!」


祖父へと向かおうとする父上の前に、母上が手を出した。

前へと進もうとする父上を止める。

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