記憶 ―砂漠の花―
「この裏庭を、お花でいっぱいにしたいの。」
私は、ふふっと笑って花たちを見つめる。
「あぁ…。裏庭だけと言わずに、街全体がそうなればいいな…。」
「…でも、カオスの泉の土だから。たくさん持ってきたら、泉の土が渇れちゃうから駄目よ?」
「それは大変だ。少しずつ、だな…。」
花や緑に囲まれた、遠い未来のこの街の様を、アズは今きっと想像している。
遠くを見て、目を細めた。
「…ここの光景を見ると、いつも元気を貰う。」
「…私も。」
少し向こうの砂漠では、
風に煽られた乾いた砂たちが、広大な山を作っては崩れる。
それは半永久的に繰り返される、この国の姿の一部。
私たちが見つめる花たちが、
いつの日か、
この大地に広がりますように……