記憶 ―砂漠の花―
20・見えない明日
20・見えない明日
アランは、
自分がシオンで聞いていた事、今私と見てきた母上の記憶、自分の知る限りの全てを二人に話した。
正直に、
何一つ偽る事もなく…
アランの話を全て聞き終えた二人は、ベッドに腰掛け、頭を抱えた。
しばしの沈黙。
それを破ったのは、キースだった。
「…何なんだ…何なんだ…何なんだ!!」
いつも冷静なキースが頭を振り乱す。
「サザエルも、シオンもラルファも…、『嘘』のない国はないのか!?なぁっ!」
「………」
アランは何も返答出来ずにいた。
…本当ね…
『嘘』ばかり…。
『嘘』『隠蔽』『沈黙』――
私の愛すべき国ラルファ、
もう私に愛せる自信はない。
キースが、未だ頭を抱え何も言葉を発しないアズと静かに涙を流し続ける私を見た。
そして、血の滲む片手で自分の顔を覆う。
「…こんな…酷い話があるか…っ!!」
『この2人が血が繋がっているなんて』
言葉にはしないものの、
そう表情で嘆いていた。
アズが俯いたまま、久しぶりに声を出す。
「…この旅が終われば『即位式』がある。アラン…お前は?」