記憶 ―砂漠の花―
「…どうするかな…、何度も流してきた。嘘だらけの国だぜ?継ぐのが、どうも…な。」
アランはそう目を伏せた。
アズは顔を上げた。
私をしばらく辛そうに見つめると、私の隣に視線を移す。
アランを真っ直ぐに見つめると、
「――俺と一緒に…、『嘘のない国』を作らないか…?」
そう言い切った。
「即位式で、国民に全て真実を語る。その上で…、新しい国に!もう嘘で誰かがこんなにも苦しむのは御免だ…」
「……アズ…」
アランがその強い瞳に光を灯す。
でも、すぐに、
はっと私を見た。
「アズ…、アイリの事は…!?」
アズの心の中の葛藤が分かる。
再びうっすらと涙を浮かべた緑色の瞳で、私を見つめた。
…いいの。
…決めて…?
アズ…
愛する貴方が決めた事に、
私は従います。
だから…
アズが強く、目を閉じた。
「――偽りない『真実』を…。」
アズは、私よりも…
「――俺は…俺はこれから『国』の為に生きよう……」
『国』を、
『モラル』を、
『理性』を、選んだ。
それは、きっと、
苦渋の決断だった。