記憶 ―砂漠の花―
「……分かっ…た…」
アランは震える声を絞り出し、そう頷いた。
「…アイリは…俺が貰うからな…!」
アズは震える拳を握りしめ、消え入りそうな声で、
「………あぁ…」
と呟いた。
「…サザエルではリオンが、その座に就くだろう。三ヵ国で『嘘』『偽り』のない世界を…か…。」
キースが、「悪くない」と呟く。
「…俺も手伝うよ。」
「有り難う…キース。」
何も語らなくなったアズの代わりに、アランがそう頭を下げた。
彼らは、真実を受け入れた。
もう過去は戻らない。
分かってる。
どんなに嘆いても、
曲げようがない事実。
分かってる…
この荊と棘だらけの道を、
どんなに苦痛に耐えながらも、
それでも、
前に進まなくてはならない事を…
国をこれから担う彼らは、とても強かった。
見えない明日を、
見えない未来を…、
自らの手で切り拓こうとしていた。
「…アイリと…二人で話を…したい…。」
アズが虚ろな顔を上げた。
「……あぁ…。」
アランは私を気遣って心配そうな顔を見せた。
…いや…
…嫌…
今二人にしないで…