記憶 ―砂漠の花―
……前を向こう…
『壊シテシマエバイイノニ…』
そう心は云うけれど、
皆のこれからの未来を邪魔してはいけない。
アズの邪魔にはなりたくない…
「もうすぐ飯だし、叔父様も待ってる。…行けるか?」
「………」
私はゆっくりと立ち上がった。
アランが、私の異変に気付く。
「…アイリ?…お前…『声』は…!?」
「………」
私は、ただ首を振った。
しばらく…、
しばらく前から、
私の声は…、出ない。
「…マジかよ…、精神的ショックかな…」
アランは私の髪を撫でながら、何かを思い付いたようだった。
アランは、自分の額と私の額をくっつけた。
『紫』の力が波打つ。
『これは…決戦前に先生とタビがやっていた…?』
私は心でそう聞いた。
「――そう、心の『回線』をつないだ。」
目の前でアランが笑った。
「これでアイリの思ってる事は俺に筒抜けってわけ。だから、変な事は考えないように!」
明るい口調とは裏腹に、アランの心が伝わってくる。
『……命を、…とか考えるなよ、アイリ。俺はずっとお前の傍にいる…』