記憶 ―砂漠の花―
『アラン…大丈夫…。ごめんね、甘えてばかりで…』
ははっ…と、アランは笑うと私を抱き締めた。
「言ったろ…?この旅中にアイリの目にハート作ってやるって。俺は本気だから…!もっと甘えていい…」
アランの腕に力が入る。
『アズへの気持ちごと、俺にぶつけろ。』
『アラン…』
私は、しばらくアランの優しさに甘えて泣いた。
長年アランを誤解していた事を悔やんだ。
こんなにも…
心の大きな人…
「…さぁ…、飯にしよう。見ろよ、夜が明けてきた…」
うっすらと窓からの光が差し込んでいた。
白く霞む紺色の空に、
東からは太陽が昇り始めていた。
それは、
紅い、紅い…
見事な朝焼け。
中庭の緑の木々を、
池の水面を、
紅く、染めていた―――