記憶 ―砂漠の花―

『…すぐ治ると思うから…心配しないで、って伝えて…?』


表面上の笑顔を作ったアランが、皆に伝えた。

私には、
『嘘つき。』と…


あれだけ、
『嘘のない国へ!』
と、言っておきながら…


『泣き過ぎて声を枯らして…』

『すぐ治ると思うから』

……私たちは嘘をついた。


皆を思っての良い嘘なら許されるかしら…

いいえ…
過去にそうやって嘘を重ねて、重ねて、ラルファの歯車は狂ったんだ。



『父上…、だけど嘘は嫌いよ。今までの国の事は許し切れない。アズたちの今後の話は聞きましたか?』

父上に向けた言葉の半分は、自分を問い詰めていた。


『言うの?これ…』

『――言って?私から、なんだから。』


アランは立場上、とても言い辛そうだった。
だけど、伝える内に自分の感情も高ぶってしまったのだろう。


「叔父様…国を国民を騙す行為…、マルクの悪事と何ら大差ないのでは…?」

そう付け加えた。

父上の表情がどんどんと、父から王の顔へと変わっていく。
そして、雲ってゆく。

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