記憶 ―砂漠の花―
21・鎮魂歌
21・鎮魂歌
城の下へ降りる私たちの目の前には、マルク。
そして昨日の戦いによる眠りから覚めたであろう青服たち。
「マルク…!おめおめとよく来れたな…!」
先生がマルクに向かって叫んだ。
マルクはふくみ笑う。
『何か…おかしい…!』
違和感を感じるのは、マルクの後ろに構える青服たちの姿。
全員の髪が金色になっていた。
昨日の先生の魔術で金髪へと変わったのは、約半数…。
全員は多い。
彼らの目は虚ろに、苦痛の表情すら浮かべる。
「……!?」
先生も何かに気付いた。
「……マルク!貴様っ…」
マルクの味方だったはずの青服たち。
力を封印されて…
――囚われている!?
「さすが、リオン様…。お気付きか?」
マルクが両手を広げ、青服たちを指した。
「貴方がたは実に甘い。昨日の戦いで分かりましたよ?彼らをも殺したくはないようでしたので…、利用させていただきました。」
ははははは…、とマルクの笑い声が周囲に響いていた。
「彼らが人質か…。」
少し遅れて、城の中からアズが静かに姿を現した。
ぴくりと動いたマルクの表情に、焦りが見え隠れする。