記憶 ―砂漠の花―
「……アズ君…?貴方は…昨日殺したはずですが?」
アズは先生に『強制封印』して貰ったままだ。
マルクの目からは何が起こったのか分からないはずなのだが、すぐに勘づかれた。
私たちの一番後方。
城の入り口にいた父上に寄り添う母上の姿に、視線を向ける。
「遺伝…していた、というわけか!!なんと凄まじき『紅い力』!!」
マルクが白い魔力を体から発した。
青服たちが一斉にうめいた。
「ぐわぁぁぁあぁぁ――!」
「……マルク…様…!?」
「た…助けて…」
「……なぜ…ぎゃぁぁ!」
私たちは眉間にしわを寄せ、見つめた。
どうして…、
どうして、こんな酷い事が出来るの。
昨日まで仲間だったはずなのに…。
「…なぜ…といった表情でしょうか?」
「仲間だろう!?」
大きな剣を構えたキースが、そう叫ぶ。
「はっ…!?仲間?彼らは私の駒にしか過ぎない。利用出来るものは利用する、目的の為に!!」
『…酷い…』
『あぁ…最低だな。』
私とアランはそう会話した。
ここにいる皆がそう感じているに違いなかった。