記憶 ―砂漠の花―
先生は唇を噛み締めてマルクに問う。
「お前の目的とは!!」
「…いい質問ですね。私も馬鹿じゃない。もうこの国で分が悪い事は分かっています。」
そう、マルクの本性は国民に知れた。
そして、青服たちまで利用した今、彼がこの地にとどまる事は難しい。
「本来なら、リオン様の命を貰い、この国を破壊して差し上げたいところですが…。」
マルクは、アズとアランに目を細めた。
「なんせ、そちらのウィッチ人口が増えていますからね…?さらに色付き…。この『国』は諦めましょう?」
そして、私を見た。
「要求は、『紅い力』と、島のバリアの解除です。私は他の地へ移りましょう。簡単でしょう?」
目的を紅い力に絞り、それを手にこの地から無事逃げる。
これだけの人を巻き込んでおいて、そんな事が許されるはずがない。
いや、マルクにとっては『許す』などと関係のない事なんだ。
非道…
マルクが言葉を続ける。
「…別に、アズ君でもそちらのお嬢さんでも構いませんよ?カルラには失望しましたよ。まさか少し私が目を離した隙に『永久封印』などと…、馬鹿げている!生かしておいただけでも感謝して貰いたいくらいですね。」