記憶 ―砂漠の花―
……どうする?
どうする、どうする?
アズを行かせる事は出来ない。
これからの未来を担う人。
さらに、自分で魔力を制御する事が出来ない。
マルクを下手に攻撃すれば、青服たちが危ない。
先生はこれ以上の国民の犠牲を許さない。
『私が行く…』
私は静かに一歩前へ出た。
「アイリ!?」
「アイリさん!?」
静かに前に出た私に対し、疑問の声が周囲からあがる。
『……どうするつもりだ?説明しろ。』
アランだけは冷静だった。
私に、ただのこのこ付いていく気がないのを分かっているからだろう。
『多分、このまま私を連れていくのは危険過ぎる。リフィルさんのように心臓を抜くでしょう?』
『あぁ…だろうな。』
私たちの心の会話にマルクは気付くはずもなく、口を開いた。
「お嬢さんが犠牲になるという事かな?」
にやりと微笑むマルクの問いに、私は頷いた。
『人から心臓を抜く…、かなりの魔力と集中がいるでしょう?私なら少しの間抵抗出来るはず。その隙にアランは青服を自由に!』
『危険だろう!?もし抵抗が…』