記憶 ―砂漠の花―
『大丈夫、うまくいく。ただ、いつ魔術を使うかが大事ね。アランを信じてる…!』
『……分かった。』
アランは渋々納得した。
回線を繋いでいた事が、こんなにも幸いするなんて思いもよらなかった。
「……では、心臓を抜かせて貰いますよ…?」
…やっぱり。
マルクが私に一歩一歩近付く。
後ろからは、アズの、皆の悲鳴にも似た叫び声。
きっと駆け出そうとする皆を、アランが必死に止めている。
マルクの手の先が、私の胸に向く。
白い魔力が音もなく大きくなった瞬間、それは起こった。
「……!!」
――紫の力…!
『駄目よ、まだ早い!』
ピタっと、マルクの魔力が落ち着く。
アランの方へ向いた。
「…何ですか…!?」
アランからマルクに返った言葉は、普段のふざけた口調だった。
「いや、違う、違う。こいつ等が暴れるからさ、邪魔になるだろ?『動き』を止めただけ。さー、やっちゃって?」
私も振り向く。
そこには、動きを止められた皆が、苦痛の表情を浮かべて私の名前を叫ぶ姿。
「アラン!!お前、何のつもりだ!!ふざけるなぁー!約束しただろう!」
アズがアランに罵声をあげる。