記憶 ―砂漠の花―
「…約束…?だって仕方ないでしょー!?これしか大勢を救える方法はないんだからぁー。」
アランは普段通り笑っていた。
『ごめんね、アラン。』
…嫌な役をさせて。
『本気で抵抗してろよ!?これで本当にアイリ奪われちゃ洒落になんないぜ!』
「さぁ…マルク、やっちゃって?」
アランが、そうマルクに手のひらを向けた。
しばらく、警戒して皆の様子を伺っていたマルクも、
「ふん…本当のようだな…」
そう私に集中し出した。
再び、私を覆い出す白い光。
『あ……まだよ、アラン。』
私の紅い力が、侵入させまいと自己防衛を始めた。
白と紅い魔力が重なる。
「くっ…!さすが紅い力の主…」
…これでも、
大分押さえているのよ…?
声が出たなら、そんな言葉を浴びせていただろう。
マルクが、さらに私の心臓に集中する。
白い光が、
私の紅を包み込んだ。
「まだなのか…!?」
マルクが苛立ち始める。
その表情は、焦りの色を隠せない。
私の胸にかざした手のひらを、もう一度構え直した。
うっすらと額に汗し、息も荒い。
皆の声も張り裂けんばかりだ。