記憶 ―砂漠の花―
22・砂漠に咲く花
22・砂漠に咲く花
砂漠に、風が吹く。
砂が舞う。
空には、白い月。
こんなにも…、
穏やかな晩は、この光景に胸が締め付けられる。
あれから、
3年の年月が流れていた。
「……ったく、やってらんねーよなぁ…」
ぼそっと俺が呟いた言葉に、キースがぴくりと眉間にしわを寄せた。
「…アラン様…、またそのような言葉遣いを…!」
「その『様』ってやめてくんない?お前に呼ばれると鳥肌が立つ…」
俺は、両手で自分の肩を抱いて震えてみせた。
キースは、顔色ひとつ変えずに話す。
「…いえ、下の者に示しがつきませんので…」
俺は、ムッと唇を尖らせた。
もう一度、窓の外に目を向けると、
「…あれから、3年。こんな日くらいさぁ…ただの『仲間』に戻ってくんない…?キースちゃん。」
静かに、そう目を伏せた。
「ただの『痛みを分かち合う仲間』にさ…。」
「……あぁ…、そうだな、アラン…。」
キースも、
静かに溜め息をついた。
「…少し、昔話をしながら…例の場所へでも行かないか…?」
「あぁ…、いいだろう…。」
俺の提案に、キースも目を細めた。