記憶 ―砂漠の花―
◯エピローグ◯
◯エピローグ◯
…あ…
あぁ……
誰…?
私を呼んでいる―――
アイリ…?
そう、私はアイリ。
私は―――
「…愛里!愛里ってば!」
私は目を開けた。
「…ぁ……」
「もう!起きた!?オールするとか言ってた人間が真っ先に寝ないでくんない!?」
カラオケの最中で眠ってしまったらしい。
私は眠い目を必死に開きながら、眠りこけていた長椅子から身を起こした。
「……もぅ…。」
絵美が、頬を膨らませ、私を見つめる。
「…ごめ…」
「愛里…?あんた何泣いてんの…!?」
「…え…?」
私は自分の目元に手を当てて、はっと驚く。
泣いていた。
…どうして…?
テーブルを挟んだ向かいに座る、奈央が笑いながら言う。
「夢でも見てたんじゃない?」
…夢…?
見ていたかもしれない。
あの、いつも同じ夢。
「……砂漠…」
私は、ぼそっ呟いた。
奈央が呆れて、絵美に話す。
「また砂漠だよ…。この間も地理の時間かなんかに『ゴビ砂漠』か何か見て呟いてた。」
「授業中…?何てー?」
「…『帰りたい…』だよ、おかしくない?」
そう二人は笑った。