記憶 ―砂漠の花―
「多分て…。旅は危険なんだぞ?アイリ、分かってる…?」
「私、一応はウィッチなんだよ!?分かってる!?」
ムッとお互い顔を合わせては言い合いが続く。
頬が半分緩んだ、本気じゃない恒例の口喧嘩。
「…なんだか私が寂しくなるなぁ…」
そう父上が言ったので、二人して口喧嘩を中断して笑ってしまった。
そんな昼食の後。
私は、城の一室にあるマギーの部屋を訪れていた。
「…そうですか、貴女もサザエルへ…。」
マギーは、そう眉間にしわを寄せていた。
きっと私を心配している。
「…うん。それでね?マギーに、花壇の水やりをお願いしたいんだ。」
私は花たちの世話を頼みに来ていた。
私はいつ帰るか分からない。
その間に花が枯れてしまうのは悲しいから…。
「えぇ、貴女が帰るまで、しっかりと代わりに愛情を注ぎましょう…。」
マギーはそう快く笑顔で引き受けてくれた。
安心した私から溜め息が漏れる。
でも、マギーの顔色がすぐに曇った。
困った表情で私を見つめる。
「…マギー…?」
「…私が貴女に教えて差し上げれた事は、あまりに少ない…」
「…そうかな?いっぱい教わったよ?」