記憶 ―砂漠の花―

まずは、隣国シオンへ向かう。
ここから馬で3日くらいの距離だと聞く。


しばらくは広大な乾いた砂の世界が続く。

そこを行くのはラオウに股がったアズと、レンに股がった私。


カオスの泉を横目に過ぎた頃、前を行くアズが重い口を開いた。


「…昨日は、悪かった…」

アズも戸惑っているのか私を見ようともせず、股がったラオウの背を見ながら躊躇いがちに言った。


「そ、そうよ!いくら特定の人がいないからって、妹に手を出すなんて…。」

私が少しでもこの場を和ませようと冗談めかしく笑うと、ふっとラオウの足を止めた。

「…え?何!?」

私も愛馬レンの足を止め、身をこわばらせる。
今度は、アズは私の目をじっと見てこう言った。


「俺は、いい加減な気持ちであんな事はしない!」

「…っ、また…そんな事言っちゃって…」

「お前、ウィッチなんだから、嘘をついているか本気かくらい分かるだろう?」


そう…、
アズは嘘をついていない。
だから余計に戸惑ってしまう。


「…でもっ、私…」

私が何か言おうとすると、アズはそれを打ち消すかのように口を開いた。

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