記憶 ―砂漠の花―
しかし…、
私の中にも果たしてどの程度のものか、自分でも計り知れない程の大きな力がある。
マギー曰く特に私は、一般のウィッチより大きな力を持っているのだと、昔から言っていた。
『自分をしっかり持ちなさい』
マギーの言葉が、私の脳裏を通りすぎた。
その言葉の意味は、
正直、よく分からない。
でも…
この旅で、アズの力になれるだろう私のこの魔力は、きっと二人の距離を大きく広げてしまうんだ。
そんな不安が、大きくなっていった。
ヒッ…
…ヒィ…ン…
『キース…重い…』
レンが息をあげながら嘆いていた。
「悪いな?頼むよ。」
『やだっ!おりろよ…』
レンがその茶色の首を大きく揺さぶりながら反抗するのも、無理はなかった。
自分の背に乗る人数が増え、重さは倍以上になったのだから。
私たちの旅に、キースが加わったのだ。
「頑張って、レン。」
私の励ましも虚しく、嫌だ嫌だと首を振る。
『…無理、む~り~!嫌だぁ~…』
そう嘆きながらも、懸命に砂を蹴る。