記憶 ―砂漠の花―
街の中心に構えるシオンの白い城。
所々の壁には、長いツルとともに緑の葉が瑠璃色の屋根に向かって繁っていた。
「おぉ!よく来てくれたな、遠いところを。」
そう言って、シオン国王は謁見の間に現れた。
すぐに私たちに駆け寄り、私とアズの二人をまとめてぎゅっと抱き締めた。
「こんなに大きくなって!元気だったか?二人とも。」
「もちろんです、叔父様!」
シオン国王は、アズの母上カルラさんの兄にあたる。
昔はラルファまで足を運んで私たちに会いに来てくれていたのだが、今回会うのは久し振りだった。
「アイリも、こんなに女らしくなって…。アズがアイリにベッタリで困ったものだと聞いてはいたが、アズの気持ちも分かるなぁ。見張ってないと悪い虫がたくさん寄りそうだからなぁ!」
私たち二人の顔を交互に見ながら、それは楽しそうに満面の笑みで話していた。
その叔父様の笑顔が、
急に消えた。
「っ!!お前はっ!」
叔父様はキースを見ていた。
「叔父様?この方は…」
私が紹介しようと口を開くと、キースは自ら私の前へ出て膝を付いた。