記憶 ―砂漠の花―
6・知られざる過去
6・知られざる過去
翌朝――。
再び謁見の間での事。
やはり、アランは私にしっかりと貼り付いていた。
そして、アズはアランに対して明らかに不機嫌オーラを放っていた。
二人は昔からあまり仲良くないのだが、「私が原因なのかもしれない」と、今になって気付く。
「叔父様!昨日『役に立つ優秀な奴』とおっしゃいましたが?」
アズがそう叔父様に聞いた。
かろうじて敬語を話すアズの表情が、まさかコイツじゃありませんよね?と曇る。
サザエル潜入方法より優先された疑問。
「まぁまぁ、アズ。こう見えても我が息子ながら、一応優秀なのだよ?ちょっと、難はあるが…アラン!言っておるそばからアイリにちょっかい出すでない!真面目にやらんかっ!」
そう怒鳴る叔父様を横目に、アランは昨夜と何一つ変わらぬ態度で話す。
「もぅ父上まで…。今からピリピリしなくても、やる時はやるって~。アイリにカッコイイところ見せなきゃいけないし~?」
「ねぇ~?アイリ」と私の肩を抱いて笑顔を向ける。
「…えぇ…そうねぇ~…」
私はすでに諦めていた。
アズが叔父様に疑いの目を向ける。