記憶 ―砂漠の花―
「…本当だ、アズ!これでも役に立つのだ。年もアズより2つ上だし、私の補佐をしているだけあって情報も持っている。連れて行って損はない!」
そう言い切った叔父様は、変な汗をかいていた。
「…分かりました…。そこまでおっしゃるのなら。お借り致します…」
アズは渋々頭を下げた。
私は腰に回されたアランの手を、ペシッと叩きながら口を開く。
「叔父様、サザエルに入るのはどうしたらいいの?やっぱり船?でも、バリアがあるんでしょう?」
「やはりサザエルの物ですか?」
アズも付け加えて問うが、返答は私の横から出る。
「そう、あのバリアはサザエルの侵入者を感知する為の物。及び国外への逃亡者防止策かな。認知されていない者が通れば一瞬で灰になるらしいよ。」
「アラン、でも私の力で…」
アランは首を横に振った。
「仮に、こちらもバリアで身を守れば灰になる事は防げるが、やはり奴等に気付かれ追っ手がかかるだろうね。情報も少ない、叔母様がどの島にいるかも分からない中、それは避けたいね…」
私にベタベタとくっついたままそう告げるアランを、私たちは目を丸くして見ていた。