記憶 ―砂漠の花―
涙に濡れるキースの代わりに、叔父様が教えてくれた。
それからというもの、キースは影でラルファを支えてくれているのだ。
国王の手となり足となり、重要な手紙を各国へ届けたり、戦の噂が流れれば偵察に向かったり。
この25年の間、本当によく働いてくれているのだ、と…。
叔父様は、私たちに向けてこう続けた。
「彼なしでは今のラルファにはならなかっただろう。彼は今や国王の右腕、ラルファになくてはならない存在だ。」
「滅相もございません。私はその様なお言葉をいただける人間では…!」
キースは、叔父様の言葉を慌てて否定する。
「いいや、言わせてもらう。あれから話を聞くだけで君とは会う機会がなく、今に至ったが、私はずっと心を痛めていた。この旅でカルラが見つかれば、君も少しは気が済むだろうし、いやっ、例え見つからなくとも、この旅を終えたら元の姿に戻ってくれ!」
「…いえっ、それは…」
「いや、成らん。そうやって何度も断り続け、今に至ると聞く。お願いだ、いやっ、命令だ!戻るのだ!自分の人生を、自分の幸せを見つけてくれ!もう充分だよ、キース…。」
「…………。」