記憶 ―砂漠の花―
8・奴隷の島 ゴザ
8・奴隷の島 ゴザ
本気の本気で怒ったアズは、別人の様に恐ろしかった。
目は据わり、本気で剣を抜いて、片手はアランの首元を掴み…と、
あのアランが素直に謝る程だった。
しばらく、その調子のアズの仕切りで真面目に現状の把握が行われた。
そうよ、
何の為の昼間の偵察よ…。
この島はサザエルの一つ、
『ゴザ島』。
アランが偵察に行った南の廃墟、もとい…
街には、奴隷たちが住み、毎日本島であるサイル島に行き来している。
先程のウィッチは、やはりサザエル女王の手の者だろうという事、奴隷の見張りの仕事でウィッチがつく、ウィッチ人口の多さが伺える。
是非とも、
侵入者として捕まる前に、母上の情報を早く集めなくてはならないのだが……。
さて、
私たちが身を潜めていた北側の廃墟には反乱軍のアジトがあったらしいのだ。
10名程度の少ない人数ではあるが、今や完全に周りを包囲されていた。
「全員、大人しく手を上げろ。」
リーダーらしき声の低い人物が、私たちの中のリーダーをキースと予測したのか、キースの首元に短剣を突きつけていた。
私たちは素直に両手は上げるものの、発する会話は態度に矛盾していた。