記憶 ―砂漠の花―
「アラン、違うって!協力してもらえないかなって言いたかったのに~!もう!」
「アランなんて連れてくんじゃなかった!くそっ!」
アズもそう言い、腰の剣を抜いた。
出来る事なら、私たちは戦いたくなかったのに…。
「両者 止まれっ!!」
キースの良く通る大きな声が、周りのコンクリートの壁に響いた。
「……!!」
その場の全員の動きが止まる。
キースに目をやると、先程まで自分に向けられていた短剣を逆に返し、反乱軍リーダー側の首元に刃を当てていた。
「殺し合いはしたくない!反乱軍相手となれば尚更だ。我々の話を聞き、協力してもらいたい。」
「さすが、キース!」
明らかに私とアズは白い目でアランを見ていた。
今は身分を隠している為口には出せないが、彼がシオン次期国王で大丈夫なのかと疑った。
「…今…、キースと言ったか。先程から言っているな。」
反乱軍リーダーが、キースに捕らわれたまま、ぽつりと呟く。
「よい、皆。剣をしまえ!どうやら敵ではないらしい。」
彼の言葉を合図に、他の反乱軍たちがそれぞれに剣をおさめる。
それを確認したキースも彼から短剣を離した。