記憶 ―砂漠の花―
私たちは、この廃墟の外れから、彼らの後についてアジトへ向かった。
崩れた灰色の壁や柱。
それらが所々で道を塞ぎ、月明かりの空を遮断する。
まるで迷路を進む様に、廃墟の中心地を目指して歩いた。
やがて、そこそこ原形を留めている一軒の建物に入った。
そして、部屋に通されて事情も話さぬまま、手厚くもてなされていた。
「手荒な真似をしてすまなかったね…」
リーダーが顔を覆った白いローブを取り、顔を少しずつ明らかにさせながら言葉を続けた。
「私の若い頃の友人が君にそっくりでね。名前もキースといった…。」
50代位の白髪混じりの金髪が現れる。
「しかし、生きていれば私と同じ年の友人だ。まさか…と思ったが、……私の顔に見覚えはないかね?」
彼はそう言ってキースと向き合った。
崩れ落ちそうなコンクリートの壁に背をもたれ、もてなされた飲み物をゴクリと飲みながら、私たちはキースの返答に注目していた。
この場には、反乱軍リーダーのリオンさんと私たちのみ。
もう少しは警戒してくれても良いと思うのだが、キースと自分の関係に余程の自信があるのだろう。