記憶 ―砂漠の花―
『もぅ、またアラン!だから、リオンさんはキースが友達だと思ってて…!キースが嘘ついたから、アズが気を遣って話を広げようとしたのに…!』
と心の中で思ってみても伝わらない事は分かっている。
しかし、そんな思いで目の合ったアランをジロッと睨んだ。
リオンさんは少し考えると、
「…そうか、この流れでは不自然かもな。」
と静かに溜め息をつく。
「…はい?」
「いや。では、私から質問をしよう。アズくん、アイリさん、さらに狼とくれば、ラルファ国のご一行だろう?」
「―――!?」
私たちはお互いに顔を見合わせた。
この人、なんで知っているの?
「ははは。なぜ分かるのか…、怒らないで聞いて欲しい。」
リオンさんの笑顔が消え、真剣な表情になる。
視線の先には、アズ。
「…商人に頼み、ラルファ国王に元王妃の情報を流すよう仕向けたのは、私だ。」
「―――!!」
全員に緊張が走る。
「…なぜ!目的は!」
「情報は、俺たちを誘き寄せる罠というわけか?!」
アズとキースは座っていた体を起こし、リオンさんとの距離をじわりとあけた。