記憶 ―砂漠の花―
「まず、情報は真実だ。内容に嘘はない。」
握られた手から、アズの力が少し和らぐのを感じる。
…良かった。
父上の期待も、
これまでの皆の思いも、
無駄にならないのだと分かったら全員に安堵の表情が広がる。
アズは、一つ溜め息をつくと質問を続けた。
「では、それをわざわざ俺たちに伝えた貴方の意図は?」
「それを話すと長くなるのだが、簡潔に言うならば、サザエル女王リフィルを止め、この地を救ってもらいたいのだ…。」
「―――ッ!?」
全員の動きが固まる。
「…ちょっと待ってよ。話がデカすぎるだろ!」
アランが、ははっと乾いた笑いを発した。
「分かっている。他の国の王家が関われば、今やっとの思いで終結している戦争にも成りかねない。しかし、君たちの母君カルラ様にも関わる話なのだ。」
「母上は、……生きているという事か?」
アズの手に再び力が入る。
胸の鼓動が、不安が、期待が、
ドクドクと波打つ。
「あぁ、生きているよ…。」
リオンさんは一瞬表情を和らげて、確かにそう言った。
アズと私は互いに顔を見合わせ、言葉にならない歓喜にわく。