記憶 ―砂漠の花―
アズが、はっとリオンさんに視線を戻す。
「では、妹は!」
リオンさんは私を見た。
「確か二人兄妹だと聞いていたが…。他にも妹が?」
リオンさんは、妹アイリの安否までは分からないようだ。
私の存在までは、詳しい情報を持っていない。
「いや…、いいんだ。そうか…」
アズは肩を落とした。
詳しくは語らなかった。
私は、やはり複雑な想いで横にいるアズを見ていた。
…見つかって欲しい。
でも彼女が見つかったら、
……私は?
純粋に心から残念だと思えない自分に嫌気がさす。
これまで静かに話の行く末を見守ってきたキースが、口を開いた。
「…詳しい話を聞かせてもらおうか。返事をするのは、内容によって、だな…。」
そう落ち着いた声で言った。
「あぁ、そうだな。事は重大だ。私が知っている全てを話すとしよう…」
リオンさんはそう答えると、手元の酒のカップをグイッと一気に飲み干し、語り始めた。