Raindrop
「それじゃあ、最初は少しゆっくりめで。少しくらい間違っても大丈夫だから、まずは音を良く聴きながら……」
ヴィオラを構えた水琴さんの合図で、僕たちも弓を構える。
それぞれが視線を交わし合い、一呼吸置いてから演奏に入る。
『あ、雨が降ってきた』
そんな呟きが聞こえてきそうな冒頭の軽やかで優しい曲調。
ピアノも良いけれど、弦楽器で奏でる『雨だれ』も、なかなか味のある良い音がする……そう思いながらも、少しだけ疑問。
何故、このパート分けにしたのだろう。
ヴィオラは雨音となるピアノの連打部分の大半を請け負っているので、ここの音を外すわけにはいかないから水琴さんが引き受けたのだろうけれど。
チェロなら花音も弾けるし、難易度で言えば拓斗がセカンドの方が良かったのではないか、と思う。
「あっ……」
特に難しいところはないものの、初めて弾く曲という緊張もあるのか、花音が途中で止めてしまった。
「ご、ごめんなさい……」
「大丈夫よ、最初だもの、間違えて当然なの。少し練習してみましょうか?」
「はいっ」
花音は難しい顔をしながら、間違えた箇所を何度か練習。
そこから最後まで一通り演奏して。
何か、引っかかった。
ヴィオラを構えた水琴さんの合図で、僕たちも弓を構える。
それぞれが視線を交わし合い、一呼吸置いてから演奏に入る。
『あ、雨が降ってきた』
そんな呟きが聞こえてきそうな冒頭の軽やかで優しい曲調。
ピアノも良いけれど、弦楽器で奏でる『雨だれ』も、なかなか味のある良い音がする……そう思いながらも、少しだけ疑問。
何故、このパート分けにしたのだろう。
ヴィオラは雨音となるピアノの連打部分の大半を請け負っているので、ここの音を外すわけにはいかないから水琴さんが引き受けたのだろうけれど。
チェロなら花音も弾けるし、難易度で言えば拓斗がセカンドの方が良かったのではないか、と思う。
「あっ……」
特に難しいところはないものの、初めて弾く曲という緊張もあるのか、花音が途中で止めてしまった。
「ご、ごめんなさい……」
「大丈夫よ、最初だもの、間違えて当然なの。少し練習してみましょうか?」
「はいっ」
花音は難しい顔をしながら、間違えた箇所を何度か練習。
そこから最後まで一通り演奏して。
何か、引っかかった。