Raindrop
校舎の外はいつの間にか土砂降りの雨だ。昇降口は外で部活動をしていた生徒たちで溢れかえっていた。

その間を縫うように歩き、傘を開く。

そこで響也が思い出したように振り返った。

「そうそう、さっき言ってたヤツな。日曜までには聞いといてやるからさ、ちょっと待ってろな」

「ああ……練習場所のことかい?」

「そう。レッスンまでの空き時間、だろ?」

「そうだけど……迷惑ではないだろうか」

「だいじょーぶ。俺んち同然だからなー」

どこかの家か、それとも音楽教室だろうか、と訊ねる前に。

響也はヴァイオリンケースを抱えるようにして走り出した。

「んじゃ、また明日な!」

ヴァイオリンケースを極力濡らさないよう、身を縮めて走っていく姿に笑みが漏れる。

嫌々やっているように見えて、ちゃんとヴァイオリンを愛していることがバレバレだ。


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