Raindrop
それを見ながらズボンのポケットから携帯を取り出し、西坂へ連絡をする。
もうすぐ約束の10時。
すぐ近くの駐車場で待機してくれているはずの西坂は、連絡をすればここまで迎えに来てくれる。
一月前に誕生日を迎え14歳となっていた僕は、保護者付きで遊びに行くということに多少なりとも抵抗を感じていたけれども、それがここへ来るための条件なのだから仕方ない。
拓斗や花音に『塾に通っている』と言って誤魔化しているのもあり、西坂の迎えは必須だ。
携帯を耳にあてたまま賑やかな色の通りを眺めて、ふと、立ち止まった。聞き慣れた名前が聞こえた気がしたのだ。
その声が聞こえてきた方へ目をやる。
『fermata』のあるビルから二軒ほど先にある居酒屋の前にタクシーが停まっていて、店から出てきたばかりらしい女性が2人、肩を組んでよろよろと歩いていた。
「水琴っ、しっかり歩いて! ったく、毎回毎回こんなになるまで飲んで……もう付きあってやらないからね!」
……みこと?
水琴、さん?
耳元でぷつり、と音がして、西坂の声が聞こえてきた。
『はい、和音様。すぐにお迎えに上がります』
「あ……いや、ちょっと待ってくれるかい」
そう言い、携帯を耳から少し離した状態で水琴さんらしき人に一歩、近づく。
もうすぐ約束の10時。
すぐ近くの駐車場で待機してくれているはずの西坂は、連絡をすればここまで迎えに来てくれる。
一月前に誕生日を迎え14歳となっていた僕は、保護者付きで遊びに行くということに多少なりとも抵抗を感じていたけれども、それがここへ来るための条件なのだから仕方ない。
拓斗や花音に『塾に通っている』と言って誤魔化しているのもあり、西坂の迎えは必須だ。
携帯を耳にあてたまま賑やかな色の通りを眺めて、ふと、立ち止まった。聞き慣れた名前が聞こえた気がしたのだ。
その声が聞こえてきた方へ目をやる。
『fermata』のあるビルから二軒ほど先にある居酒屋の前にタクシーが停まっていて、店から出てきたばかりらしい女性が2人、肩を組んでよろよろと歩いていた。
「水琴っ、しっかり歩いて! ったく、毎回毎回こんなになるまで飲んで……もう付きあってやらないからね!」
……みこと?
水琴、さん?
耳元でぷつり、と音がして、西坂の声が聞こえてきた。
『はい、和音様。すぐにお迎えに上がります』
「あ……いや、ちょっと待ってくれるかい」
そう言い、携帯を耳から少し離した状態で水琴さんらしき人に一歩、近づく。