Raindrop
全開に開ききったドアから中に入ると、パッと靴箱の上のランプに明かりが灯った。センサーつきのライトらしい。

狭い玄関に靴を脱ぎ捨て、水琴さんのは後でいいか、とそのまま上がりこむ。

横にもふたつドアが並んでいたけれど、恐らく正面のドアが正解だろうと、息を切らしながらドアを開けて……絶句。

現れたのは10畳ほどのワンルーム。

カーテンが引かれていなかったので、月明かりがほんのりと部屋の中を照らしていたのだけれど。

「……」

肩で息をしながら、しばらく呆然と立ち尽くす。

左手にソファやテレビ。

右手にベッドスペース。

正面には大きな観葉植物が置かれていたりして、シンプルな家具が綺麗に配置されていたのだが……足の踏み場がない。

足の踏み場がないくらい、汚い。

テレビの前のテーブルには本らしきものが山のように積み上げられている。

それくらいならまだいいのだけれど。

脱いでそのまま置かれたのか、それとも洗濯物を取り込んだ後なのか、服やタオルなどがソファの上やらベッドの上、そして床にも散乱していた。

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