Raindrop
「……え?」

今脱がせたばかりの右足を見てみる。

……細い。

でもストラップの食い込む左足首は……倍くらいに膨れている。しかも触ると熱い。

「捻挫? 骨折?」

一気に疲れが吹き飛んだ。

「ちょ、水琴さん、これは痛いでしょう、大丈夫ですか」

声をかけながら灯りを探す。ベッドの足元にあるドレッサーの上にランプがあったので、それを点けてまた足の様子を見てみた。

やはりパンパンに腫れている。居酒屋の前で転んだときに捻ったのだと、すぐに思い当たる。

「全然大丈夫じゃないですよ水琴さん……水琴さん?」

声をかけてもまったく起きる気配はない。本当に痛くないのだろうか?


とにかく、腫れているならば冷やさないといけない。

丁度ベッドの上にはハンドタオルが落ちていたので、それを借りることにする。

水道でタオルを冷やすとして、アイスノンのようなものはあるのだろうか……と、ソファのある方へ歩いていくと、カウンター付きの対面式キッチンが横に現れた。

ここは物がなくて綺麗だ。

綺麗だけれど……生活感のまるでない印象だ。

< 171 / 353 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop