Raindrop

しらしらと夜が明けて。

徐々に街が目覚め始めて、人の動き出す音が窓の向こうから伝わってきた。

夜に降っていた小雨はすっかり止んだけれど、窓の外は朝霧で真っ白だ。その霧の向こうで太陽の光が泳ぎ始める。

その時間になってもまだ僕は水琴さんの部屋にいて、キッチンで食事を作っていた。

というのも、少し前に部屋を出たときに、2人の人物に出会ったからだった。




うっすらと部屋の中が明るくなってきた頃、ベッドに背を預けてうとうとしていた僕の耳に携帯の着信音が聞こえてきた。

静かな部屋の中に音は賑やかに聞こえるのだけれども、その持ち主である水琴さんはまったく目覚める気配がない。

夜中も何度か鳴っていたようだ。

急ぎの用がある人じゃなければ良いけど。そう思いながら伸びをして、立ち上がる。


──さて、どうしようか。

水琴さんが起きてから、具合が悪くないかどうかだけを確認して帰ろうとは思っているのだけれども。

一度家に連絡をした方がいいかもしれない。心配をかけてしまって申し訳ないと。


電話をかりようと思ったのだけれど、この部屋に電話はなかった。水琴さんの携帯を勝手に借りるわけにもいかないし、外に探しに行くことにする。

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