Raindrop
そうして2時間ばかり過ぎただろうか。

そろそろ水琴さんも目覚める頃かもしれない……と、起き掛けに食べられそうな味噌汁を作っていると。

呻き声が聞こえた気がした。

「……水琴さん?」

カウンターを回りこんでベッドスペースを見ると、布団をかぶっている水琴さんがゴロリと寝返りをうったのが見えた。

まだ起きたわけではないのか、とキッチンへ戻ろうとすると。

ガバッと、勢い良く水琴さんが起き上がった。

「あ……い、痛……」

起き上がりはしたけれど、すぐに頭を押さえて蹲る。

「大丈夫ですか?」

声をかけながら近づくと、顔を顰めながらこちらを見て。そのまましばらくぼうっとした目で僕を見ていた。

「……あ、れ?」

頭を押さえながらパチパチと瞬きを繰り返す水琴さん。ゆっくりと辺りを見回して、また僕へ視線を向けて。でもまだ状況を良く把握出来ないらしい。

それが可笑しくて。

少しだけ悪戯心が芽生えた。

「おはようございます」

にっこり笑って挨拶をする。

「え……あれ、和音、くん……? どうして、ここに……」

< 185 / 353 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop