Raindrop
「……拓斗も花音も、そのままの水琴さんで大丈夫だと思いますけれどね」

クスリ、と笑いながらそう言ってみる。

「駄目よ駄目。大酒飲みで酒乱で料理も自己管理も出来ていなくて中学生に面倒見てもらうような駄目大人代表の姿をあの純真な子どもたちに見せるなんて」

……そこまで卑下しなくても。

思わず苦笑してしまう。

「そんなことありませんよ。現に僕はなんとも思っていませんし……」

かなり衝撃は受けたけれど。

でも今思い返せば、あれはあれでかわいらしかったと思うのだ。

「……そ、そう?」

「それに、今は生活を正そうと努力しているところじゃありませんか。そういう姿を見せることは悪いことではないと思います」

「……そう?」

「ええ。完璧過ぎる人よりも、どこか欠けている人の方が魅力的です。その欠点を補おうと努力する人は尚更、素敵ですよ」

「……」

「それに僕は、どこにも隙のない人よりも、色んな表情を見せてくれて、明るく笑ってくれる水琴さんが好きですよ」

と、微笑んで見せたら。

「……ぷっ」

……何故か笑われた。

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