Raindrop
注いでもらったジュースをぐいっと飲み干す。

「これを飲んだらそろそろ西坂さんにお迎えに来てもらった方がいいかしらね」

なんて言う水琴さんも一気にグラスを傾けて。

そして一瞬固まった。

「か、和音くん、駄目、飲んじゃ……!」

水琴さんは血相を変えて僕のグラスを取り上げたけれど。

──遅かった。

僕の喉を通っていった冷たいジュースは……どうやらアルコールが含まれていたみたいで。

冷たく冷やされたはずの喉が、一気に熱を持ち出した。

「……お酒」

「あの、違うのよ、私が飲むために置いておいたものじゃないのよ、昨日アキちゃんが来たときに忘れていったもので……」

僕としばらくお酒は飲まないと約束しているからか、水琴さんは慌てたように言い訳しながらキッチンへ走った。

冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを勢い良くグラスに注ぎ、急いで僕の元へ戻ってきた。

「はい飲んで!」

と、グラスを手渡されたので、それをごくり、と飲んで。

……これはマズい、と僕は水琴さんにグラスを返して玄関に向かって歩き出した。

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