Raindrop
必死に謝る水琴さんの声が聞こえる。


大丈夫です。

僕が不注意だっただけなんですから。


たったそれだけの言葉が出てこない。

酒が入ると、僕は本当に駄目なんだ。

こんなことなら、もっと慣らしておけば良かったな……。




グラグラと揺れる世界の中で、水琴さんの姿も揺れて見える。

必死に呼びかけてくる彼女も揺れて、その瞳も揺れて見えて。


泣かないで、と。

もう泣かないで、と。


揺れる彼女を捕まえて、あの日言えなかった言葉を今、何故か伝えたくなった。






< 230 / 353 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop